シャドーハウス最新11巻の感想です。
当然ですがネタバレありでお送りいたします。
本作を未履修の方は、

の記事をご確認いただいた上で、興味を惹かれましたら実際に手に取って頂き、楽しんで下されば幸いです。無料公開期間は終わっていますが、三話までなら無料で読めます。(クリックで公式ページへ飛びます)
そして、この記事のことを思い出したら戻っていらしてください。
感想
メインキャラクターの目立った活躍はありませんでしたが、その分バイプレイヤー達の存在感が徐々に増してきた印象です。
こういった描写は、世界観や物語に奥行と広がりを感じさせるので大切ですね。
特にダグラス率いる一班改め風紀班が良い味を出しています。
筆者は、ダグラスの役割はトリックスター的に物語の起爆剤になり得るなあと感じており、物語の当初は、パトリック・リッキーコンビがこの役割になると思っておりました。
存在感に限っていえばちょっと食われつつあるなあと感じます。
この先どうなるのか分りませんが、パトリッキーコンビも頑張ってほしいですね。
あと、ラムとシャーリーが描かれなかったのは、少し残念でした。
展開
物語上の大きな進展はありませんでしたが、今回は新しい展開として、
エドワード御一行のお出掛け トマスの”子供たちの棟”赴任 トマス独断によるすす能力の情報解禁 無能力者狩りと風紀班の設立
この4つに絞れるのかなと思います。
- エドワード一行のお出掛け
これで、前巻のフックとして、エドワードとジョゼフが会話をしていた内容の詳細がわかりました。
外出許可というのはシャドーにとっては重要な行為であることが説明されましたね。
今回は、ミラーサイドなど島内の視察とのことでしたが、エドワードは3階への通過儀礼として捉えており、それは共通認識であるようでした。
エドは、シャドーハウスの勢力図を変えるべく、自分の手駒にできそうな人物を館の外で見極めようとします。
その過程で出会った管理人(名前忘れた)とのやり取りは傑作でしたね。
ああいった栄職に胡坐をかいた高圧的な人物を、更に上から抑えつけるシーンは胸をすくような思いになります。
物語の嫌われ役になりがちなエドワードですが、目的の為に屈辱に耐えつつ、カウンターはしっかり決める様子は好感が持てます。
- トマス赴任とすす情報解禁
2と3は一緒に扱ってもよさそうです。
この展開の中で気になったのは、新キャラの情けなさですね。
””信じて送り出した後輩が嫌いな先輩に言いくるめられて簡単に管理者代行を手放した”みたいなスピード感で、ルイスがトマスにあっさり懐柔されました。
百人中百人の読者が、子供たちの棟にやってきたトマスは、ルイスのすす能力で化けたのだと思ったはずです。少なくとも筆者はそうでした。
ルイスからすればエドワード達の思惑など知る由もないので、トマスの申し出を了承することはしょうがない事でしょうが、もう少し新キャラの自覚を持ってほしかったところです。
とにかくこれを知った時のエドのリアクションが楽しみですね。
トマスの目的は、自分の立場を固める事、そして、それによってエドワード達から権力を取り上げることも見こしているようです。
この辺りは、今後ケイト達が付け入る隙になりそうですね。
- 無能力者狩りと風紀班の設立
さて、トマスによってもたらされた、すす情報の解禁で混乱する子供たち。
「持たざる者は淘汰される」とはかなり強い言葉です。
心中穏やかではいられないでしょう。
そこで突如起こる無能力者狩り。
徐々に失墜し始める星付きの権威。
その中で設立したダグラス班の風紀班。
ショーンによれば、ダグラス達の自作自演ではないかと思われますが、どうでしょうか?
素直に読めばその可能性が最も高いように思います。
ショーンの言う通り、騒動の中で一番得をしたのがダグラス班だからです。
大穴としては、パトリックを襲った真犯人がマーガレットということもあり得るかもしれません。
その場合は、彼女はすす能力を隠している事になりますので、その真意も考察しなければなりませんね。
新カップリング

筆者はカップリングをそこまで重要視しませんが、今回のエピソードではその辺りが割と露骨に強調されていた気がするので触れておきます。
これまでもカップリングを意識した描写は多かったのですが、経緯や成り行きを考えれば自然に映るものばかりでした。
今回のそれは、ちょっと不自然というか今後の展開の為のモノに見えなくもありませんので、気になりました。
先ずは、件のマーガレットとパトリックですね。
マーガレットが一方的に好意を寄せている感じでしたが、パトリックもまんざらでもなさそうでした。
筆者はどうしてもマーガレットが無能力者狩りの真犯人に思えてなりません。
パトリックの後に襲われたモブ2人は距離があったから犯行は難しいのでは?と思われるかもしれませんが、マーガレット自身が「急に煤が現れたように見えた」と言っていました。
つまり、遠距離から煤を発生させることが出来る能力ということで、マーガレットに犯行は(距離にもよりますが)可能となります。
リッキーは誰かに押されたと言っていましたが、だとすればパトリックの下敷きになるのは変です。
普通に考えれば、パトリックが誰かに押されて、リッキー側に倒れこみ、それを庇う形で側溝に落ちる流れが自然です。最初にリッキーが誰かに押されたとすれば、この流れの逆になるでしょう。
筆者の考えは、慌てたパトリックが躓きながらリッキー側に倒れこみ、リッキーはそれを誰かに押されたと勘違いした、だと思います。
マーガレットの目的はパトリックに守ってもらう事だと考えられ、ショーンの言う無能力者狩りで「得した人物」にも彼女は該当します。
仮にマーガレットが真犯人だとした場合の、彼女が煤能力を黙っていた理由もこれで説明できるはずです。
次に「”星付き”と仲良し作戦」の為に接近したジョンとスザンナです。
次巻以降の展開にもよりますが、「俺はただスザンナに笑ってほしかったんだ!」とジョンに言われて、惚れない女はいません。ここで距離が近ずくことが予想されます。
不自然と書いてしまいましたが、上記のことは、スザンナの協力で煤能力保有者のリストを洗っていく流れになると考えられますので、必要なエピソードでしたね。
正味な話、この流れで晴れた惚れたは考えずらいかもしれませんが、スザンナは庇護欲が強く、ダメな奴ほど可愛がる性格に見えますので、ジョンの事は気に入ると思います。
スージーの表情などをみるにつけ、もしスザンナがジョンを気に入る展開になれば、年下に依存するキャリアウーマンのような爛れた展開もあり得る気がして、ワクワクしますねえ。
コメント