【漫画紹介】『法廷のファンタズマ』をご紹介。法廷劇の新機軸をご覧あれ【ネタバレあり】

漫画感想

どんな漫画?

今回紹介する漫画は、荒川三喜夫先生による、

法廷のファンタズマ』です。

本作は、『芳文社コミックス』(芳文社)より発売中の法廷活劇です。

法廷活劇とは、
法廷劇またはリーガル・スリラーともよばれるジャンルであり、主に法廷を舞台に繰り広げられる作品が多く、審理過程でのドラマを描くものです。

司法制度をテーマに扱うことが多いので、敷居が高い印象を持たれる方も多いジャンルでしょう。

しかし、本作は、ヒロインのアカリちゃんが読者視点での質問役として、主人公・トオル裁判官に説明を求めるシーンが随所に用意されており、比較的読み易い作品です。

あらすじ

浦口徹は試験最下位位合格で任官した裁判官。
”裏口合格の裏口裁判官”と揶揄されて、
さらにオカルト好きの変わり者。
記憶を失った少女”アカリ”と共に、
不可思議な難事件に挑む!

引用:法廷のファンタズマ(1)背表紙紹介文

世界観(ネタバレあり)

現実に即した世界を舞台にするリーガル・スリラーです。

静岡地方裁判所遠江支部で新人の裁判官に任官した『浦口徹』裁判官は、自他ともに認めるオカルト好きで、公判の最中でもオカルト話に目を輝かせては熱弁を振るい周囲をドン引きさせています。

そして、(ここからネタバレ)
そんな彼の傍らに憑きそう記憶喪失少女『アカリ』。

彼らが挑むのは、紙面を飾るような大仰な大事件ではなく、

社会にとっては些事に過ぎない小さな、

しかし、当事者にとっては人生を狂わすような事件。

そんな社会の片隅でひっそり消えていくはずの事件の更に深淵、

尋常な人々には悟られない幽霊たちが関わる事件。

そんな事件に対して、現代日本の法規に則って事件に判決を下します。

果たしてこのような難しいテーマに対して、トオル裁判官は公明正大でいられるのでしょうか!?

所感

まず、本作品は1~4話目まででかなり読者を選ぶ物語だと感じました。

その前に断っておきますと、

弊ブログは漫画に批判やレビューをすることを目的にしていないので、評価することは基本しないのですが、この作品は少し批判的に考えてしまいます。

誤解されがちですが「批判的思考」とは、物事の是非を問うことで改善点を明確にし、対象や取り巻く環境をより良くしていこうとする取り組みのことで、よく非難や否定の意味と混合している方を散見しますが、全く別物ですのでその辺りお間違えない様にお願いします。

さて、本作品の問題というか疑問点は、神秘思想の寄りすぎて被害者軽視になっている可能性があるのではないか、ということです。

要するに、幽霊本意になって被害者が蔑ろになっているのでは?ということで、更にそれに加えて生きている人間が置いてけ堀になっていると感じました。

一応、判決の際に、主人公のトオル裁判官によってフォロー(誤想緊急避難の適用:被害者へのフォローではなく、あくまで物語上の審理的整合性の話)はなされていますが、これがどこまで現実の法廷規範に沿って現実味があるのか、また、合理性があるのか無知な筆者にはわかりません。

作中でも田崎検察官にも触れられていますが、あり得ない前例を作った事で社会の混乱を招く恐れがあり、具体的には交通事故を起こした加害者がこぞって幽霊の存在を吹聴するような事になりかねません。

トオルは、それが通用する程裁判官はバカではない、と返していますが、返答になっていませんよね。

ただ、「検察官の処罰法の濫用などに抗する役割も裁判所の果たすべき責務」という趣旨の回答は、論点は違うような気がしますが、その通りだとも思えます。

しかし、やはり煙に巻かれた感じを拭えませんでしたね。

現実的な「権力分立」の考えに則り、検察側の横暴を食い止めたことで被害者と加害者側双方にとって有益な結果に導いた、という落とし所なのでしょうか?ちょっと苦しい気がしますね。

このように要所要所で小首をかしげるシーンがあり、かなり難しいテーマの作品であることが解ります。

とはいえ、読者に納得感を抱かせる要素は多くもりこまれており、フィクションだからと割り切れる方にはお勧めできます。
また、法廷劇にオカルト要素を混ぜた本作は、これまで法廷劇に触れてこなかった人にはむしろお勧めであり、入門書としては扱いやすいのかなと思いした。

何度も読み返さないと判らないことが多いですが、総じて筆者が抱いた感想としては、面白いお話だと感じています。

1~4話での感想としては、庵野監督による『シン・ゴジラ』の「実際にゴジラが攻めてきた場合、自衛隊はどのように対処するのか」という思考実験と同じと考えれば、本作は法廷劇として十分楽しめる作品だと思いました。

つまり「幽霊が実在して刑事事件に関与していた場合、日本の法律ではどのように裁判を行うのか」ということですね。


と、何ともまとまりのない文章になってしまいましたが、このように、一読しただけでは自分の中に落とし込むのは大変な作品でもありました。

専門知識があれば見え方も変わったのかもしれませんが、浅学な筆者にはこの辺りの理解が限界です。

どうか読者の皆様には本作を手に取って頂き、感想コメントなどいただければ勉強になります。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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