【漫画紹介】ゆうきまさみ先生、初の歴史漫画『新九郎、奔る!』北条早雲こと新九郎の活躍!

漫画紹介

どんな漫画?

今回紹介する漫画は、ゆうきまさみ先生による
『新九郎、奔る!』です。

この作品は、
週刊誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて隔週連載中の歴史漫画です。

室町幕府滅亡の引き金ともよばれる応仁の乱期の京都から始まる伊勢新九郎の物語です。

現在(2021.12.26)八巻が発刊しています。

ゆうき先生は、『究極超人あ~る』『機動警察パトレイバー』などを手掛けており、
SF色の強いコメディ漫画が得意という印象でした。

本作『新九郎、奔る!』は、ゆうき先生が手がける初の歴史漫画です。

あらすじ

時は明応2年(1493年)、

伊豆国・堀越御所に手勢を率いて討ち入る一人の男がいた。

その名は伊勢新九郎盛時。

室町幕府奉公衆として、幕命により足利茶々丸の首を獲りに来た新九郎だが、

その心中では一つの決意を固めていた。

「明日から、俺の主は俺だ!」

Wikipediaより引用

主人公、伊勢新九郎盛時(いせ しんくろう もりとき)とは、
後の北条早雲のことです。

歴史に疎い人でも「小田原城の北条氏」と云えば、何となく聞き覚えがあると思います。早雲はこの北条氏の祖となった人物です。

そして本作は、早雲こと新九郎の半生を描いた作品です。

新九郎の出自

新九郎は元々伊勢家の出身です。
伊勢家は平安時代から続く由緒正しい家柄で、足利幕府でも多くの人材を輩出し重役を任せられています。

伊勢一門
伊勢氏は平安時代末期に源平の合戦で
都落ちし壇ノ浦で滅んだ平家と先祖を
共通にする伊勢平氏の支流。
室町幕府では初代将軍足利尊氏に仕え深く信頼された
ことでその後一門から幕府の政所、申次衆、奉公衆などの
重要な地位に多数の人材を輩出し、伊勢家一門が
いなければ幕府の政(まつりごと)が立ち行かなくなると作中で細川勝元に言わしめた。
家事として故事や武家礼法(伊勢流)に詳しく、
また将軍の藩屏【守護するもの。特に、王家を守護するもの】として
弓馬を得意とする文武両道の家柄である。

Wikipediaより引用
【】内加筆

伊勢氏は政所‐まんどころ‐という役所を世襲する一族で、幕府の財政を預かる権力者でした。

いつの時代もお金を握る人は大きな発言権があります。

加えて新九郎の叔父にあたる伊勢貞親は、将軍・足利義政の養育係を任せられていた背景から幕政の中心人物です。

その権力は、管領‐かんれい‐という将軍の次に権力がある役職からも警戒され、反感を抱かれていました。

物語の構成

物語は、

  • 応仁の乱編
  • 領地経営編
  • 凶の都編
  • 駿河動乱編(連載中

の構成で進んでいきます。

早雲の足跡を辿ると、駿河動乱編の後は伊豆討ち入り、小田原城奪取、相模平定に相当するエピソードが語られると考えられます。

あらすじの描写は、伊豆討ち入りでの様子です。

応仁の乱

応仁の乱は、時の将軍足利義政の後継者争いが発端となって始まった動乱期を指します。

西暦1467~77年までの約11年間争いは繰り広げられ、室町幕府の権威失墜を招き、
「戦国時代の火蓋を切った戦乱」とみなされています。

応仁の乱は、こうように非常に重要な戦乱であるにもかかわらず、かつては歴史ファンの間でも特に人気のない戦乱でした。

その理由は、

 『長いわりに地味で、しかもよくわからないから』

                        です。

ここでは要点を掻い摘んで説明します。

先に書いた通り、発端となったのは将軍の後継者争いです。

この後継者争いに、有力守護大名の権力闘争や地方の守護の家督争いが加わり謎に複雑化します。
そして将軍家を祭り上げ、大義名分得たとした細川家や山名家が東西に分かれて戦をはじめます。戦火は拡大し、地方大名まで巻きこんで長期化することなります。

さらに厄介なことに戦乱中に各々の思惑によって裏切り寝返りが横行し、泥沼化します。

末端の兵士たちは誰が何の目的のために戦をしているのかも分からず、先日まで味方だった相手と争ったり、そうかと思えば、あくる日には同じ敵を攻撃したりなどカオスだったようです。

Wikipediaより
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画像は、応仁の乱に東西軍として参加した大名の勢力分布図です。
見事にバラバラに配置されていますね。
実際はこのように綺麗には区分されたわけではないと考えられます。国境の諸侯や末端の兵士は情勢をみて動いていたので、分布は流動的でした。

これによって国中に恨みや不満が広がり、各地の実力者たちは野心を醸成し、下剋上の気風が旺盛となることで、戦国時代に入っていく訳ですね。

このような経緯を辿ったのは、将軍義政の優柔不断さが原因と言われています。

応仁の乱編では、このような時代に伊勢一門としての幼い新九郎が、幕府や将軍家、大名家とどのように関わっていくのかが描かれます。

実際は、翻弄されるといった方が正しいですね。

この時点では、新九郎、まだ奔りません!

更に詳しく説明した記事を投稿しました

【歴史】北条早雲はいつ奔りだすのか!?室町時代「新九郎、奔る!」応仁の乱など歴史背景を勉強しよう!
ゆうきまさみ先生による歴史漫画『新九郎、奔る!』の内容を理解するために時代背景を解説します。室町幕府の政治権力の源泉や役職の役割、将軍足利義政の紹介、応仁の乱の前後で起こった家督争いや守護権力の変化を解説します。歴史にわかによる勉強の成果をご覧いただければと思います。

ご興味があればご覧ください。

概要

室町時代末期は、下剋上の時代ともよばれ、位や身分の下の物が上長を打ち負かし成り上がる時代でした。

その代表格には、織田信長や斎藤道三、毛利元就、松方弾正(久秀)などがいます。

そして、北条早雲も下剋上成功者として、長らく「成り上がった武将」と認知されてきました。

しかし近年の研究では、一般的な「下克上の素浪人」という従来の早雲像は払拭されつつあります。

上で書いた伊勢氏が出身であることもその一例で、
本作『新九郎、奔る!』も最新版の歴史認識を下敷きに描かれています。

マニアックな話

北条早雲こと伊勢新九郎盛時は、出自・生年について諸説ある人物で、没年を巡っても論争が起きています。

以前ブログ内で佐々木小次郎について触れた時にも書きましたが、歴史的な偉人の年齢には様々な説が付き物です。特に動乱期などは記録も曖昧で顕著ですね。

こういった要素を上手くまとめるのがプロの手腕だと思います。

本作では、現在主流の歴史見解を下地に様々な要素をミックスすることで、物語の趣を増しています。

ゆうき先生の教養と創造性に脱帽ですね。

主な説としては、

  • 伊勢氏支流・備中伊勢家出身
  • かつては享年88歳説が主流だったが64歳説を採用。1456‐1520(応仁の乱時に12歳)
  • 母親については通説の盛定(父)の正室で伊勢宗家当主・伊勢貞国の娘ではなく、『北条五代記』に準じて盛定の側室で堀越公方被官・横井掃部助の娘を生母とする
  • 姉である伊都(北川殿)は異母姉弟であり、異母兄弟の兄が足利義視に仕えていたことにした
  • 新九郎の生誕・成長の地は父の所領がある備中国(岡山県西部)荏原郷ではなく、将軍直臣の父と一家が暮らす京都および山城国(京都府南部)とし、新九郎の元服後に父の名代として荏原に下向した

などです。

余程の歴史マニアでない限りは、一読しただけでは一つもピンと来ないと思います。

まとめ

歴史に興味が薄い方には、とっつきにくいと感じるかもしれませんね。

しかし、ゆうき先生が元々コメディ色が強い作風であることに加えて、作中で歴史背景がわかり易く解説されているので、歴史漫画の中では読み易い部類だと思います。

また、刃傷沙汰が苦手な方も大丈夫なようにグロテスクな表現は極力さけ、ギャグマンガ風にデフォルメされています。

余談ですが、井上雄彦先生の『バガボンド』の人気に影響されて、NHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』の制作が決まった、という噂もあります。

『新九郎、奔る!』を原作とした大河ドラマも是非見てみたいところです。

応仁の乱の前後は人気がなかったと書きましたが、昨今では歴史的な評価が見直され、歴史ファンから注目されている時代です。

歴史家の中には、
日本の歴史は応仁の乱から始まったと豪語する方もいらっしゃるそうです。

この漫画を機に、一度歴史ロマンに触れてみてはいかがでしょうか?

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