前置きなどないアニメ感想
第二話のエピソードは、単行本1巻の8話「部屋の外には」から12話「汚しながら」までのエピソードを中心としたお話です。
第一話は、部屋の「内」での話、つまり「エミリコとケイトの世界」がメインのエピソードでした。
対して今回は、タイトルからも解る通り「外」に目を向けさせられます。
ここから「シャド―ハウス」という舞台にまつわる情報が、我々視聴者に提示され始めます。

個人的に『シャド―ハウス』という作品は、ケイト陣営がこの「内と外」を行き来する作品だと考えています。
ですので、「内」と「外」の線引きは重要です。
今後ケイト達は情報を「内」に秘匿しながら「外」に向かってアプローチを仕掛けていきます。
例えば、仲間に事情を伝えて「内」に引き込んだり、館(外)の構造を探ったりなどですね。
今回はその発端が描かれることで、先の展開の期待感が高まりました。
陽光に照らされたロビーや楽し気な歌、しかし繰り返される「シャドー家の為に」という言葉から感じる薄気味悪さがサスペンス的でよきでしたね。
極めつけはCパートのこのシーンでしょう。

©ソウマトウ(著)シャドーハウス/集英社/アニプレックス.All Rights Reserved.
Cパートの考察
ミアとサラの関係を表すこのシーンは、原作コミックでは未だに触れられていないシーンです。
個人的にアニメのこのシーンには、二つの意図があったと考えています。
一つは、「汚しながら」と対になっているという事です。
アバンは、12話の「汚しながら」が元になっていますが、原作とストーリーの順序が変更されています。Cパートのシーンは原作単行本2巻20話「親切なお影様」のラストのシーンです。
アニメの流れは、12話»8~11話»20話となっています。
この順序でCパートに当該シーンを入れたい理由があったという事です。
その理由とは、ケイトとエミリコ、サラとミア、それぞれ一日の始まりと終わりの心象を表現したかったのではないかと考えられます。
サラとミアはシャドー家のルールに従順な現段階でのハウス(外)の象徴です。サラは野心家でミアを道具として扱い、ミアも洗脳の末に役割に殉じるために行動しています。それが歪な主従関係として顕在化した結果、あのシーンに繋がったと思っています。
二つ目はシンプルにクリフハンガー、つまり『シャドーハウス』のサスペンスホラー的な表現として、視聴者に次回に期待感を持たせる手法ですね。これに関しては特に説明は必要ないかと思います。
ここまで読んだ察しの良いあなたは既にお気づきだと思いますが、この『シャド―ハウス』は、二個一対を表現する描写が多いです。
エミリコとケイト、生き人形とシャドー、内と外、光と影などです。
この先も二個一対、もしくは表裏一体をモチーフにした表現や関係が描かれるかもしれませんね。
関係といえば、ショーン、リッキー、ルウ、ラムも台詞こそ少ないながら登場してましたね。
ショーンとジョンの関係が好きなので、登場が待ち遠しいです。
それとメインキャラクターの二人以外は、同じ声優が声を当てるそうです。
声優さんの演技の幅を堪能できるのは贅沢な話ですね。
個人的にローズマリー役の中原麻衣さんのファンなので、早くマリーローズの演技をみたいです。
良かった点
エミリコとケイト、サラミア組みとの絡みは全般通して良かったですね。
気さくで面倒見の良いミアとイイ感じに嫌味な先輩といった風のサラの対比が絶妙でした。
他にも良かった点は多いですが、特にこの二人組のシーンは印象に残りました。

©ソウマトウ(著)シャドーハウス/集英社/アニプレックス.All Rights Reserved.
残念だった点
エミリコが煤取の間の強風によってケイトが吹き飛ばされて消えてしまった、と勘違いするシーンがカットされていたのは残念でした。
エミリコとケイトはソウマトウなのか
ところであなたは、こちらの記事はご覧になりましたか?

この記事は『シャドーハウス』アニメ化を記念して、コミックナタリーが関係者に取材を行った企画です。
その第3弾となる、原作者のソウマトウ先生のインタビュー記事です。
とても興味深いので是非読んでみていただきたいのですが、読み終わるのに20分ほどかかります。
そこで要約したものをご用意しました。
- アニメ化までの流れと制作裏話
- アニメ本編の感想
- ソウマトウ結成秘話
ソウマトウ先生は、アニメ化の話と決定からの進捗の速さに驚いた。編集者に、アニメ制作は積極的に関わるか一切手を出さないかの二者択一というアドバイスを受けたので、先生は監修としてどんどん関わる事に決めた。原作作製時点で設定資料は作りこんでいたので、アニメスタッフとの連携が容易で進捗のスムーズさに影響しているのではないかと分析。脚本と映像関係の監修のこだわりは強い。追加エピソードはもともと漫画内でカットしたアイデアを流用した。 逆に音響関係は畑違いなので一歩引いた立場からみていた。特に声優の選定はほぼ丸投げ。裏話として、エミリコとケイトの声優は当初逆の予定だった。メイン二人と同期メンバーの声優の演技を絶賛。 ここから本編から離れ、先生のパーソナルについての掘り下げる。 ソウマトウは、「ひっし」と「のり」の二人組のペンネームで活動している。ひっしが漫画家のアシスタントをしていた時に、のりが誘って共同で作品を制作するようになった。過去作には『ギリギリアウト』などがある。先生の作品に共通するテーマの一つに「変わった舞台設定での日常」があり、そのテーマを色濃く投影されたのが本作『シャドーハウス』である
ソウマトウ先生が二人一組の作家というのは何気に衝撃的だったのではないでしょうか。

©ソウマトウ(著)シャドーハウス/集英社/アニプレックス.All Rights Reserved.
筆者がこの記事を読んで最初に思ったのは、エミリコとケイトの関係はソウマトウのお二人の関係が反映されているのではないか、という事でした。
この仮説を基に色々考えた結果、
関係なさそう、という答えに行き着きました。
流石に、作者と登場人物の少ない共通点から逆算して、キャラクターとの関係性を考えるのは、思考が飛躍しすぎました。作品は作家の人生経験の上に成り立つものなので、多少の影響を受けているとは思いますが、それぞれを意図してデザインされたという事は証明できそうにありませんでしたね
しかし作品の傾向として、バディ物が好きなのではないか、とは感じます。
前作の『ギリギリアウト』も二人一組の男女の物語でしたし。
炎上ついて
前記事では、今後シャドーハウスは炎上する可能性があると書きました。

一話目のオリジナルエピソードと先の展開(お披露目の間でのシーン)に矛盾があり、わざわざそのシーンを入れてまで整合性が取れない設定を追加する意図が解らない、というのが理由でした。
誤解のないように改めて説明しますと「矛盾(少なくとも筆者はそう感じている)があるから炎上すると言いたいわけではなく、その矛盾を解消する方法としてエピソードの大幅カットの可能性があり、それが受け入れなれないファンの反感を買ってしまい、炎上に繋がるのではないかと危惧している」という事です。
飛躍した考えでは?と感じる方もいるでしょうが、こう考えた根拠はあります
ご存じの方も多いでしょうが、アニメ『シャド―ハウス』を製作しているのは、アニメ『約束のネバーランド』を製作したCloverWorksです。

どちらもシリーズ構成を大野敏哉さんが担当されています。
アニメ『約ネバ』の炎上は有名ですね。そしてその理由が原作エピソードの大幅カットであると知れば、やはり戦々恐々としたくなります。
とはいえ大野さんは、アニメ『宝石の国』のシリーズ構成も担当されており、手腕は本物です。
約ネバの大幅カットも何かやむにやまれぬ大人の事情が絡んでいるのだと信じます。

加えて、ソウマトウ先生のインタビューでわかる通り、脚本の監修に原作者が大きく関わっています。
カットやシーンを追加するにしても作品のクオリティーを上げるための再編集のようなものと割り切れます。
今は先週程の心配はしていません。
1~2話をみても原作と違う箇所があり、そのせいで意味が通らなくなったセリフなども散見されますが、重箱の隅をつつくような感想は控えることにします。
因みに筆者は原作改変は容認派です。
詳しくは約ネバの記事の『改変に対する持論』を読んでいただきたいです。
【追記】この記事を書いた後に知ったのですが、約束のネバーランド2期が原作改変した経緯は、フジテレビが関わっているかららしいですね。最近までアニメ自体を観ていなかったので、放送局までチェックしていませんでした。シリーズ構成や監督を担当したスタッフを咎める主旨の内容の記事を書いてしまって、申し訳ない気持ちです。シャドーハウスも、一部内容の変更はありますが、良好な出来に現状は満足しています。最近記事の執筆が滞っていますが、引き続きチェックしていきたいと思います
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